「ラプラスの魔女」「孤狼の血」「ピーターラビット」の興行収入の追跡
色々な映画の興行収入を取り上げている当ブログですが、その中でも意外と反響が大きかった(というかなぜかページの表示回数が多かった)現在日本で公開されている3作品、「ラプラスの魔女」「孤狼の血」「ピーターラビット」の3本の映画の興行収入を追っていきましょう。
※5月20日までの興行収入データしか取得出来ていないので、取得出来たデータの範囲でまとめてあります。ご了承下さい。
★「ラプラスの魔女」 基礎データ
公開初週末の興行収入:2億8,265万円
予想興行収入(=公開初週末の興行収入÷16%):17億6,659万円
5/20 時点の興行収入:10億5,395万円
公開からの経過週:3週
★「孤狼の血」 基礎データ
公開初週末の興行収入:1億4,894万円
予想興行収入(=公開初週末の興行収入÷16%):9億3,087万円
5/20 時点の興行収入:4億2,356万円
公開からの経過週:2週
★「ピーターラビット」 基礎データ
日本での公開初週末の興行収入:1億8,603万円
日本での予想興行収入(=公開初週末の興行収入÷16%):11億6,271万円
5/20 時点の日本での興行収入:2億2,808万円
公開からの経過週:1週
世界での興行収入では既にリクープ達成どころか利益を出し、「可愛いウサギによるバイオレンス映画」という新ジャンルを内容的にも興行的にも確立した「ピーターラビット」ですが、日本での公開初週末には1億8,603万円を稼ぎ出しています。
日本での予想興行収入が11億円強ということを考えると割とヒットしている部類に入りますが、正真正銘のハードボイルド・バイオレンス映画「孤狼の血」と比較してみると興行収入的にそこまで大差がないことがわかります。
そういう意味ではいまの日本の映画興行界では局所的に「ウサギV.S.狼」という戦いが起きているようです。(あと「ランペイジ」のゴリラとオオカミとワニも)
これを「ウサギが苦戦している」と取るのか「狼が善戦している」と取るのかは人次第ですが、そもそものターゲット層の広さの差を考えると個人的には「狼が善戦している」に一票を投じたいと思います。バイオレンス描写が許容範囲外に怖そうで観れないですが。
そして「ラプラスの魔女」ですが、5月20日時点の興行収入が10億円強ということで、チケット代が平均して1,000~1,300円と考えると約80万人~100万人がこの映画を観に行っている計算になります。
「原作発行部数は30万部を突破している」ということを考えると、出版社としては未読層に対する宣伝効果はかなり上々なのではないかと思います。
ただ映画会社としては正直期待していたほどの興行収入が挙がっていないのではないかと思われます。
計算上は「製作費が4億円くらいだったらリクープ」ということになりそうなのですが、「櫻井翔・広瀬すず・福士蒼汰」などの人気俳優をふんだんに使っている関係上製作費が4億円くらいで留まっているのかは甚だ疑問です。
いちおう東宝が製作・配給・上映の全ての工程に絡んでいるので、総興行収入のうち東宝に入ってくる収入の割合はかなり多いとは思うのですが、それでも「少なくとも20億円~30億円は興行収入が挙がってほしい」と東宝が考えていた可能性は割と高いのではないかと思います。
そう考えると「原作モノの映画興行において、勝つ確率が高いのは原作の出版社」ということになるのではないかと思います。
管理人は本は読むけど小説は全く読まない人間なのですが、2年前にドゥニ・ヴィルヌーヴの超絶大傑作「メッセージ(原題:Arrival)」を見てから原作小説であるテッド・チャン作の「あなたの人生の物語」を買いに走った覚えがあります。
話は少し逸れますが、いま調べているデータによると「映画興行において、オリジナルものよりも原作モノの方が興行収入が多く挙がる」という傾向が見えています。
そういう意味では映画会社も原作モノをやるメリットは多くあるとともに、出版社はその原作が更に多く売れることが期待できる、いわゆる「Win-Win」な関係の映画の製作体系なのだと思います。
少し脱線してしまいましたが無理やり話を元に戻すと、今回取り上げた3作品は全て「原作モノ」なので、リクープしたら映画の製作会社は嬉しいとは思うのですが、そのはるか以前に原作の出版社は既に色々と嬉しい状態になっているのではないかと思います。
「原作モノとオリジナルものの比較」などはまた別の研究企画でそのうちやろうと思っているので気長に待っていて頂けると幸いです。
以下いちおう原作です。ちなみに「ラプラスの魔女」と「孤狼の血」は両方ともKADOKAWAが出版しているので、KADOKAWAもといドワンゴはかなり嬉しい状態だと思います。
高い・・・。
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原作と映画を比較すると非常に面白いです。映画は管理人のオールタイムベストの一本です。
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